NGY地震学ノート No.2

Jul. 16, 2007
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
7月16日新潟県中越沖地震(M6.6)
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● 概略・特徴: 7月16日10時13分(JST),新潟県中越沖で M6.8の地震が発生しました. 3人が死亡,少なくとも200名がけがをしたということです.ニュースでも多くの 被災状況が伝えられています.
気象庁による速報震源は次の通りです.

    発生時刻           震央     深さ      M
 07/07/16 10:13  (JST)    37.50°S   138.60°E     17km    6.8

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動50,SH波7) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (53,36,104) 
 地震モーメント  Mo  =  1.0 x10**19 Nm  (Mw = 6.6)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 10 s
 深さ          H = 16 km
 最大すべり量      Dmax = 0.7m

●解釈その他:台風が通り過ぎてほっとしたら今度は地震.かなりの被害が出ているようで 心配です.
波形はこれまでの同規模の地震に比べてかなり短周期成分が乗っているなという 感じがします. メカニズムは北東−南西走向を持つ逆断層で1964年の新潟地震と似たメカニズムです. 深さも16kmと浅く,破壊は北西方向の浅い方に進んだようです.逆断層の場合断層面をこの解析 だけから決めるのは難しいのですが,南東傾斜の方が波形の合い具合はよかったので,その 結果を示しています.ただしこの結果であればかなり余震が海域で多く起こっていることが 考えられ,今後余震分布と比較しながら結果を改訂していきたいと思っています.
先ほど規模の大きな余震があったようです.今後も余震活動に注意してください.
この地震に対して大学連合で余震観測が行われます.名古屋大でも震源付近に5点程度 臨時観測を行う予定です.

(文責:山中)

P.S. 4月から異動した名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山・防災研究センター のセンター名の略称はRSVDなのですが,長い上に覚えにくいことから今後この地震学 ノートはNGY地震学ノートにしようと思います.今後ともよろしくお願い致します.