NGY地震学ノート No.4

Sep. 13, 2007
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
9月12日南スマトラの地震(M8.4)
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● 概略・特徴: 9月12日11時10分(UT),スマトラ島南部の沖でM8.2の地震が発生しました. 震源付近の地域では建物が倒壊し,死傷者が出ているようですが,まだ被害の状況ははっきり しません.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央         深さ      M
 07/09/12 11:10  (UT)      4.517°S   101.382°E     30km     8.4

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動56,SH波14) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (327,12,109) 
 地震モーメント  Mo  =  5.7 x10**21 Nm  (Mw = 8.4)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 90 s
 深さ          H = 30 km
 最大すべり量      Dmax = 15m

●解釈その他:またまたスマトラ島で巨大プレート境界地震です.2004年(Mw9.0), 2005年(Mw8.6)よりはかなり南に位置します.低角逆断層のプレート境界地震です. 破壊は北西方向に進みました.現在USGSで報告されている余震は少ないですが,これら は本震より北西側で起きていることからも北西に200kmほど進んだものと考えられます.
この付近では1833年11月24日にM8.7の地震が起きています.この地震がどういう地震かは よくわかりませんが,場所,規模から言ってこの地震の再来地震の可能性があります.この 地震の南隣では2000年6月4日にMw7.8の地震が起きていますが,この地震は横ずれが卓越 したメカニズムをしており,プレート境界の地震ではない可能性が高いです.
津波はパダンで1-3m観測されたという報告もあります.規模の割に津波が大きくなかったのは 震源が比較的深かったためと思われます.

すべり分布(コンターは2m間隔で5m以上すべったところ).破壊開始点は. はUSGSによる余震分布.
背景のは1973-2006までに起きたM6以上の地震の震央を示している.
☆は1833年(宇津カタログによる)と2000年の震央