NGY地震学ノート No.11

Jul. 24, 2008
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
7月24日岩手中部の地震(M6.9)
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● 概略・特徴: 7月24日0時23分(JST),岩手県中部でM6.9の地震が発生しました. 震源付近の地域では建物が倒壊し,100名以上が負傷,2名が死亡した.
気象庁による速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央         深さ      M
 08/07/24 00:23  (JST)      22.20°S   69.8°W      60km     7.7

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (356,26,102) 
 地震モーメント  Mo  =  5.0 x10**20 Nm  (Mw = 7.7)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 50 s
 深さ          H = 38 km
 最大すべり量      Dmax = 2.7m

●解釈その他:この地震は沈み込む太平洋プレート(スラブ)内で起きたやや深発 の地震です.気象庁によるとスラブ内の二重深発面の下面で起きた地震ということです. 二重深発面の下面ではこのように沈み込む方向に引っ張りの力が働く地震が起こります. 断層面がどちらかは断言できませんが,高角の断層面の方が波形のあいはややよさそうです.

深い地震ということもあって断層面積は小さく,したがって応力降下量は大きいです.
この地震の調査委員会の評価文はこちら