NGY地震学ノート No.7

May. 11, 2008
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
5月8日茨城沖地震(M6.4, M7.0)
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● 概略・特徴: 5月8日1時2分(JST),茨城沖で M6.4の地震が,1時45分にM7.0の 地震が発生しました.
気象庁による速報震源は次の通りです.

    発生時刻           震央     深さ      M
 08/05/08 01:02  (JST)    36.23°N   141.95°E     60km    6.4
 08/05/08 01:45  (JST)    36.23°N   141.61°E     50km    7.0

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動51,SH波7) を用いて 解析しました.
●結果: 結果を図1,図2に示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

1時2分の地震
 走向、傾斜、すべり角 =  (207,16,87) 
 地震モーメント  Mo  =  5.1 x10**18 Nm  (Mw = 6.4)
 断層面積        S = 20km x 20km
  破壊継続時間(主破壊) T = 10 s
 深さ          H = 16 km
 最大すべり量      Dmax = 0.4m

1時45分の地震
 走向、傾斜、すべり角 =  (205,17,87) 
 地震モーメント  Mo  =  3.2 x10**19 Nm  (Mw = 6.9)
 断層面積        S = 25km x 25km
  破壊継続時間(主破壊) T  = 20 s
 深さ          H = 19 km
 最大すべり量      Dmax = 1.7m

●解釈その他:茨城沖では約20年おきにM7クラスの地震が起こっていました. 1943年にM6.7,1961年にM6.8,1982年にM7.0の地震が起きています.また海溝付近には 第1鹿島海山などの海山が存在し,これらの地震と海山の関係が議論されているところです.
1時45分の地震はその前の地震の表面波が重なっているため,波形のあいはよくありません. 深さはどちらも15km-20kmくらいで,断層のdip角も低角であることからプレート間地震と 考えられます.メカニズムはどちらもGlobal CMTとほぼ同じメカニズムとなりました. 今回の地震波形をみると2−3のサブイベントの多重震源であることがわかります. 大きなすべりは余震活動と同様,南北方向に狭く東西方向に広がっています.破壊は どちらも深い方(西側)に進みました.Global CMTのセントロイドの深さが本結果より やや深いのはそのせいと考えられます.

(文責:山中)

は気象庁による震央.コンターは1時2分については0.1m間隔,1時45分については 0.3m間隔で引いた.オレンジの○は気象庁による5月8日の1日に起こった余震分布.