NGY地震学ノート No.8

May 12, 2008
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
5月12日中国 四川省の地震(M7.5)
----------------------------------------------------------------

● 概略・特徴: 5月12日6時28分(UT),中国四川省でM7.5の地震が発生しました. 多数の建物が倒壊,多くの方々が生き埋めになっているとのことです.四川省 だけでも7600名以上の方々が死亡したという情報もあります.まだ被害の全貌が わからないということで,今後が心配です.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央         深さ      M
 08/05/12 06:28  (UT)      31.1°N   103.3°E      10km     7.5

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動40,SH波6) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (230,30,128) 
 地震モーメント  Mo  =  4.0 x10**20 Nm  (Mw = 7.7)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  45s
 深さ          H =  11 km
 最大すべり量      Dmax = 3.4 m

●解釈その他:
やや横ずれ成分を持つ逆断層のメカニズムです.2つの節面のうち,余震分布を参考に北東- 南西方向を持つ節面を断層面としました.概ね破壊は南西から北西に進みました.破壊開始点 の深さは10km前後と浅く,大きなすべりは浅い部分に集中しています.
ここ30年間のカタログではこの付近ではこれほど大きな地震は見あたりません.さらに古い カタログを調べると震源の精度は落ちますが,1933年にM7.4の地震が起きているようです.

すべり分布(コンターは0.5m間隔で0.5m以上すべったところ).破壊開始点は. はUSGSによる余震分布.