Jun. 24, 2008
名古屋大学地震火山・防災研究センター
◆近地波形解析(暫定解)◆ --------------------------------------
6月14日岩手・宮城内陸地震(M7.2)
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● 概略: 6月14日8時43分(JST),岩手県内陸南部でおきた地震について K-net, KiK-netの波形を使った解析を行ってみました.遠地実体波解析ではどちらの節面を 断層面に取るべきか判断しかねましたが,その後見つかった地震断層,地殻変動, 余震活動などから西傾斜の断層面が優勢です.そこで西傾斜の断層面を仮定して 近地強震計記録を使って解析を行いました.
●結果: 結果を図に示します。主な震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (210,40,98) 地震モーメント Mo = 4.76 x10**19 Nm (Mw = 7.1) 破壊継続時間(主破壊) T = 18 s 深さ H = 6 km 最大すべり量 Dmax = 1.8m
●解釈その他:
構造を適当に仮定して計算しているのでまだ暫定解です.解析には図1の▲で示した5点を用いました.遠地実体波解析で求められた 断層面よりやや西に振った走向になりました.余震分布とはよくあうようです.余震は 震源の北側に多く発生していますが,本震のすべりのメインは震源より南側の領域に なります.
図にすべり分布と余震活動の関係を示します.図中の■は 地表断層が見つかった地点,■は大規模な土砂崩れが見られた駒ノ湯温泉,荒砥沢ダム,行者滝の場所です.最も大きなすべりを起こした断層の真上に この場所があったことがわかります.
(文責:山中)
図 コンターは0.3m間隔で0.6m以上すべった領域に引いた.★は気象庁による本震震源,●は余震活動