NGY地震学ノート No.15

Apr 6, 2009
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
4月6日イタリア中部の地震(M6.3)
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● 概略・特徴: 4月6日1時32分(UT),イタリア中部でM6.3の地震が発生しました.震源近くの街では建物が損壊,100名以上が死亡,1500人以上の負傷者がいるとのことです.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央         深さ      M
 09/04/06 01:32  (UT)      42.42°N   13.395°E    10km     6.3

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動50) を用いて解析しました.
●結果: 結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (145,41,-94) 
 地震モーメント  Mo  =  3.25 x10**18 Nm  (Mw = 6.3)
 断層面積        S = 20km x 10km
  破壊継続時間(主破壊) T  =  10s
 深さ          H =  1 km
 最大すべり量      Dmax = 0.6 m

●解釈その他:
今回の地震は北西−南東方向の正断層の地震です.この付近の活断層は北西-南東方向の正断層が 発達しているとのこと(たとえば千田昇他, 活断層研究, 7, 23-31, 1989). 破壊開始点の深さはきわめて浅く,浅いところで大きなすべりがあったため被害が大きくなった と思われます. 2つの節面のどちらが断層面かは波形解析 だけからは断言できませんが,南側に破壊は進んだようです.

すべり分布(コンターは0.1m間隔で0.1m以上すべったところ).破壊開始点は . はUSGSによる1976年-2006年の地震分布.