Aug. 13, 2008
名古屋大学地震火山・防災研究センター
◆近地地震波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
8月11日駿河湾の地震(M6.5)
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● 概略・特徴: 8月11日5時7分(JST),駿河湾で M6.5の地震が発生しました.
気象庁による速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 09/08/11 05:07 (JST) 34.79°N 138.50°E 23km 6.5いつものように遠地実体波解析を試みようと思いましたが,この地震の12分前に アンダマン諸島でM7.6の地震が起きていたため,その表面波に隠れて遠地実体波 解析はできませんでした.そこでメカニズムは防災科技研F-netによる解析や気象庁 のメカニズムなどを参考に試行錯誤で近地波形を説明するモデルを求めました.
●データ処理: 防災科技研によるK-net, KiK-netの強震計記録を用いて
解析しました.
●結果: 結果を図に示します。主な震源パラメータ
は次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (307,57,130) 地震モーメント Mo = 7.9 x10**18 Nm (Mw = 6.5) 破壊継続時間(主破壊) T = 11 s 深さ H = 23 km 最大すべり量 Dmax = 0.75m
●解釈その他: メカニズムは沈み込み方向にほぼ直行する逆断層ということで北東傾斜,南西傾斜の 両方の断層面で求めてみました.その結果,北東傾斜を仮定した方が波形のあいが よかったのでここではその結果を示します. 気象庁や防災科技研による余震分布でも北東傾斜の傾向を示しているようです. 解析には下図の ▲で示した7点を用いました.気象庁による余震分布とは概ねあう ようです.本震のすべりは震源より北西側に進んだことがわかります. 断層面の走向がプレートの沈み込み方向と直行することからもプレート内の地震である ことがわかります. 近地地震波を使った解析では遠地解析に 比べて波線が通ってきた構造の影響が大きくなりますが,ここで示した解析ではやや 標準的な構造を用いて計算しているため,まだそれほど波形の合いもよくありません. が,滑りが比較的狭い領域で起こったプレート内地震であったことはこの結果でも いえるでしょう.
(文責:山中)
★は気象庁による震央.コンターは0.1m間隔で0.4m以上滑った領域を 示した.●は気象庁による余震分布で深さを色で示した.