NGY地震学ノート No.31

Oct. 26, 2010
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
10月25日スマトラ沖の地震(M7.7)
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● 概略・特徴: 10月25日14時42分(UT),インドネシア西部スマトラ島沖で M7.7の地震が起こりました.死者は113名,行方不明者が150人とも500人とも言われて います.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央          深さ      M
 10/10/25 14:42  (UT)      3.484°S   100.114°E    20 km    7.7

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動32) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次の とおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (315,10,98) 
 地震モーメント  Mo  =  6.15 x10**20 Nm  (Mw = 7.8)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  50 s
 深さ          H =  20 km
 最大すべり量      Dmax = 1.3 m

●解釈その他:沈み込みに伴う低角逆断層の地震です.破壊は破壊開始点から 浅い方に進みました.震源過程解析からは津波地震的(応力降下量が小さい)な結果 になっています.
地震直後に出された津波警報はまもなく解除されたのに沿岸を津波が襲ったとのこと. なぜそのようなことになったのかはわかりません.実際にどの程度の津波が襲ったのか 具体的にはわかりませんが,比較的破壊開始点の深さがもっと浅かったらもっと大きな 被害を出していたと思います.
この付近では1833年にM8.7の地震が発生しているようです.

(文責:山中)