Mar. 11, 2011
名古屋大学地震火山・防災研究センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
3月11日東北地方太平洋沖地震(M8.8)
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● 概略・特徴: 3月11日14時46分頃(JST),三陸沖でM8.8の地震が起こりました.
すでになくなった方が300名以上,不明者数百名という被害になっています.
USGSによる速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 11/03/11 05:46:23 (UT) 38.322°N 142.369°E 24 km 8.9
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動58) を用いて
解析しました.図1は広帯域地震計で取られた生波形です.
P波の到達時間をそろえて
北から時計回りに並べています.160秒までに見られる波形に似た波形がその150秒程度
あとに見られます.160秒までの波群はどの方位でもそろっている一方,その後の波群
はばらばらです.このことから破壊開始とは違った場所で次々に地震が連動している
ように見えます.
●結果: 破壊は次々に起こっていると思われます.とりあえず最初の波群を使って
解析をしました.その結果を図2に示します。現時点での
震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (200,8,77) 地震モーメント Mo = 2.79 x10**22 Nm (Mw = 8.9) 破壊継続時間(主破壊) T = 100 s 深さ H = 24 km
●解釈その他:連動型のプレート境界地震と思われます.貞観の地震と似たような
ものではないかと思われます.太平洋側では大きな地震が起こることは予測されていました
が,今,これらが連動してこれほどの地震が発生することは予測されていませんでした.
下図の滑り分布は気象庁の震源の速報値から破壊が始まったとしてプロットしています.
あくまでもこの結果は破壊の始めの部分だけなので実際にはもっと南側に破壊が広がって
いると思われます.
多くの方がなくなっています.ご冥福をお祈りいたします.
すべり分布
赤いコンターが今回の地震.
(文責:山中)