NGY地震学ノート No.55

Nov. 23, 2014

Dec. 03, 2014 ちょっと追加
名古屋大学地震火山研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
11月22日長野県北部地震(M6.8)
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● 概略・特徴: 11月22日22時08分頃(JST),長野県北部でMj6.8の地震が起こりました. 倒壊した住宅(堀之内地区)があるとのことです.


気象庁による速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央          深さ     M
 14/11/22 22:08:17  (JST)  36.7°N  137.9°E       10 km    6.8

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動62) を用いて 解析しました.
●結果: 結果を図1に示します. 震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (10,65,49)
 地震モーメント  Mo  =  4.7 x10**18 Nm  (Mw = 6.4)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  10 s
 深さ          H =  9 km

●解釈その他:横ずれ成分を含む逆断層の地震です.図2に今年の8月以降に 発生した地震の震源(気象庁による)と滑り分布,活断層,余震を示します.断層長は 15km程度で余震分布とよく一致します.そばに神城断層があり,今回の地震に関係して いるのかもしれません.この地域は11月に地震活動が活発化しており(図2の断面で 紫色の震源が11月の地震活動),今回の地震の前震と考えられます.前震の傾斜は 西傾斜に分布しているように見えますが,今回の地震の断層面は東傾斜に求まって います.前震や活断層との関係についてはもう少し丁寧に見ていく必要があります.
歴史地震を調べると1714年の地震が今回の地震に近いところで発生していると考えられ ます.この地震は今回と同規模の地震と考えられており,姫川沿いの谷に被害が出て いて大町組で住宅全壊194棟,死者56人,負傷者37人という被害が出たそうです (地震調査研究推進本部資料による).震源は今回の地震よりやや北と言われていますが、 この地震でも今回被害が大きかった堀之内地区で48棟が全壊、善光寺では石垣が 壊れ石塔も転倒したそうです.(北安曇郡史より)地盤の影響が大きそうです.

図2(図をクリックすると大きな図になります)
(左上)2014年以降の震源分布(気象庁による,カラーの丸)と滑り分布(赤いコンター), ★は気象庁速報値の余震分布,点線は県境,実践は活断層分布を示す.滑り分布の コンターは0.3m以上滑った領域について0.1m毎に引いている.
(左下;右上)2014年以降の震源の深さ分布(気象庁による)色は発生した月を示す.

(文責:山中)