Apr. 26, 2015
名古屋大学地震火山研究センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
4月25日ネパールの地震(M7.8)
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● 概略・特徴: 4月25日06時11分頃(UTC),ネパールでMw7.8の地震が起こりました.建物が倒壊し少なくとも1000名以上の方が亡くなっているとのことです.震源域の中に首都カトマンズがあり,首都で大きな被害が出ているようです.またヒマラヤではこの地震によって雪崩が起こったそうです.煉瓦作りの建物が多いことも被害を大きくしているように見えます.
USGSによる速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 15/04/25 06:11:26 (UTC) 28.147°N 84.708°E 15 km 7.8
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動48) を用いて
解析しました.
●結果: 結果を図1に示します.
震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (305,10,102) 地震モーメント Mo = 1.1 x10**21 Nm (Mw = 8.0) 破壊継続時間(主破壊) T = 50 s 深さ H = 12 km
●解釈その他:インドプレートがユーラシアプレートに衝突しているプレート境界で起きた逆断層の地震です.破壊は南東方向に,主として浅い方向に進みました.図2に求められたすべり分布と余震活動を合わせて示します.断層の上端は概ね山地と平野の境界になるようです.今回の地震の断層長はおよそ120kmで余震分布とも良く一致します.解析では大きなすべりが浅い部分に広がっていますが,余震はやや深めのところに集中しているのが気にはなります.今後もう少し解析結果を検討したいと思っています.この地域では日頃はそれほど大きな地震はありませんでした.図2のピンクの○は1974年以降に起きた地震の分布ですが,ほとんどの地震がM4-5程度のものです.さらに過去を探すと1833年に今回とほぼ同じ規模の地震がこの近くで起き,多くの方が亡くなっているとのことです.
図2 滑り分布(赤いコンター)とUSGSによる余震活動分布(●),
コンターは0.5m以上滑った領域について0.3m毎に引いている.■はカトマンズ.●は1974年以降の地震活動.
(文責:山中)