Sep. 25, 2015
名古屋大学地震火山研究センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
9月16日チリの地震(M8.3)
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● 概略・特徴: 9月16日22時54分頃(UTC),チリでMw8.3の地震が起こりました.
USGSによる速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 15/09/16 22:54:33 (UTC) 31.570°S 71.654°W 25 km 8.3
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動60) を用いて
解析しました.
●結果: 結果を図1に示します.
震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (350,20,84) 地震モーメント Mo = 3.0 x10**21 Nm (Mw = 8.3) 破壊継続時間(主破壊) T = 70 s 深さ H = 20 km
●解釈その他:チリで4.5mを越える津波が到達したとのことですが,死者・行方不明者
がわずか20名弱とのこと.5年前の津波が教訓になったというニュースがありました.
今回の地震は5年前の地震のまさに北側で起きた地震で,過去にも同じ地域で同じマグニチュード
の地震が発生しています.今回の解析で求められた断層の走行はこの付近の海溝軸の走行
より少し西に振った走行がベスト解となりました.余震分布をみると震源より北側では
断層の走行とよくあっていますが,南側の余震は海溝の走行方向に並んでいるように
見えます.おそらく南北で断層の走行が異なっているせいだと思います.今回の解析では
1枚の断層を仮定して解析しています.北側の断層すべりの方が大きいため,北側の断層
の走行にあわせた1枚の断層を仮定した方が波形のあいがよくなったものと考えられます.
また,この付近のプレートの沈み込み角度がどのくらいかがよくわかりません
が今回求められた断層の傾斜はやや高角な気がします.
図2 滑り分布(赤いコンターは今回の地震,白いコンターは2010年の地震[Yoshimoto & Yamanaka, 2014])とUSGSによる9/21までの余震活動分布(★の色は深さを示す),
今回の地震のすべり分布は2m以上滑った領域について2m毎にコンターを引いた.
(文責:山中)