Apr. 1, 2016
名古屋大学地震火山研究センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
4月1日三重県南東沖地震(M6.1)
----------------------------------------------------------------
● 概略・特徴: 4月1日11時39分頃(JST),三重県南東沖でMj6.1の地震が起こりました.
USGSによる速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 16/04/01 02:39:07 (UTC) 33.373°N 136.413°E 10 km 6.0
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動59) を用いて
解析しました.
●結果: 結果を図1に示します.
震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (232,18,100) 地震モーメント Mo = 1.2 x10**18 Nm (Mw = 6.0) 破壊継続時間(主破壊) T = 10 s 深さ H = 12 km
●解釈その他:プレート境界で発生した地震です.名古屋市内でも緊急地震速報が流れました.携帯でも緊急地震速報が発表されるとある音が流れますが,最近はこの音に「地震です」という言葉がつくことを今日知りました.今回の地震で大阪市内の高層ビルではエレベーターが止まったそうです.
下に今回の震源(★)の位置を示します.この図に書かれた赤いコンターは昭和の東南海地震のすべり分布(山中,2006)です.昭和の東南海地震の震源は図中の★で,今回の震源よりやや陸よりで発生しています.今回の震源の近くに小さな赤いコンターがあることから,昭和の東南海地震でこの付近に多少のすべりがあったのかもしれません.昭和の東南海地震は戦前の地震です.当時地震計で取られた揺れの記録はススを塗った紙を削って記録したもので,時計も今のような精度のよいものではありませんでした.また地震計の数も少ないため,現在の解析結果ほど精度がよくありません.規模の大きなアスペリティは確実に求まりますが,小さいすべりについては不確かさがかなりあります.昭和の東南海地震から今年で72年です.昭和の地震はその前の安政地震からの経過時間が短い(90年)こともあり,過去の地震から比べるとかなり小さめの地震でした.
海側にある2つの★は2004年に発生したM7クラスの地震です.
(文責:山中)