研 究
研究内容
地下構造の解明と監視、そこで起きている諸現象の理解、平たく言えば、地下を見る(診る)ための道具作りと、何がどう見えるか、そこから何がわかるかを研究している。
複合媒質であり不均質性に富む地下という対象に、有限の周波数をもつ波動(主として地震波動)という手段でアプローチする、という問題設定のもと、どのようなモデル化、計測、解析、情報抽出と解釈が可能か、それらを通じて対象をどのように認識できるか、ということを研究の中心課題として考えている。
研究テーマ
地震波を用いた地下構造のイメージング
自然地震(余震、群発、遠地)や人工地震の波形データを使って地下の構造のイメージや物性情報を得る。
- 地震波データの解析方法の開発
- 地震観測に典型的な、粗で不均一に分布する観測網に適用可能な解析
- 波形情報を用いた高精度高分解能な解析の地震データへの適用
- 自然地震波データの反射法解析、干渉法、レシーバ関数解析など
- 遠地地震記録を用いたプレート境界のイメージング
- 近地地震記録を用いた地殻内のイメージング
- 強震動記録を用いた地盤構造のイメージング
- 地震波構造探査の解析方法の開発
- 波動場マイグレーション/イメージング手法
- 波形インバージョン (Full wave inversion/tomography)
正確に繰り返す微弱な地震波信号を長期間連続的に送り込むことによって、地下の物性や状態の微小な変動をモニタリングすることを目指す。
- 東海監視
- 地殻内微小速度変化の検出とその変動のモニタリング
- プレート反射波の捕捉とその変動のモニタリング
- 東海SSEを狙った観測
- 断層の監視
- 火山の監視
- ボアホール用震源の開発
波動を使って地下(構造と物性、特に物性の不連続と流体の存在)をどう見るかを考える
- 観測された地震波形の持つ情報から、地下の物性情報を推定したりモニタリングの指標を抽出する方法を考える。
- 観測された地震波形の持つ情報と探査対象の物理的状態・現象とを物理モデルを用いて結びつける。
- fractureモデルと波動伝播
- プレート境界の物理モデルと波動伝播
- 波動を使うと、何が、どのくらい、どのように見えるか(見えないか)を考える。
- 波動伝播とイメージング、インバージョンの手法を統一的に理解する。
- 波動場や電磁場のシミュレーションを行う。
- 指導学生とは地殻構造セミナー(現在の名称:年度によってアクロス・構造セミナー、アクロスセミナー、AKZ(アクロス・構造・地震)セミナーなどとも呼ばれる)を通じて勉強、研究指導を行っている。セミナーは可能な限り研究テーマに共通性のある他の教員とその指導学生と合同で行う方針である。
- 野外での活動はそれほど頻繁ではないが、それなりに多い。他大学との共同研究や、学生を伴った観測や実験なども多い。
セミナー発表履歴
- 2023年度(合同セミナー):名古屋大学東山キャンパスにおける地盤振動観測
- 2021年度(合同セミナー):地震波を用いた地下構造イメージング: 現状と展開
- 2019年度(合同セミナー):リバースタイム・マイグレーションに基づく地殻構造の受動的地震波イメージング
- 2018年度(合同セミナー):An alternative approach of passive seismic imaging based on wavefield extrapolation
- 2016年度(合同セミナー):静岡県東〜中部における地殻構造(主として断層構造)調査
- 2014年度(着任セミナー:東京大学):地震波動を用いた地下の構造と物性の解明と監視、その現状と展望
- 2013年度(合同セミナー):構造推定問題としての波形インバージョンの波動論的(できるだけわかりやすい)説明
- 2012年度(教員セミナー):プレート境界の固着強度と応力蓄積の推定とモニタリングという問題に対する地震波動からのアプローチ
- 2010年度(合同セミナー):わかりやすい?地震波干渉法の原理
- 2009年度:地震波動を用いた構造イメージング
---自然地震波解析と人工地震波探査の共通性と相違---
- 2007年度:地震波動を使った地下の不連続・不均質・散乱体の能動的モニタリングの可能性 --- 波動場モデリング ---
- 2006年度:地震波動を使った地下の不連続・不均質・散乱体の能動的モニタリングの可能性
- 2006年度(合同セミナー):名古屋大学アクロス研究の現状 ---東海監視にむけて---
- 2005年度:(続)地震波動を使って地下を可視化・監視するには何を考えたらよいだろうか?
--- Waveform Imaging for Dummies ---
- 2004年度:地震波動を使ってプレート境界や断層(と流体の関与)を調査・監視するには何を考えたらよいだろうか?
--- 波動と物性値と物理モデル---
- 2003年度:孔間弾性波データの波形インバージョン解析とメタンハイドレート調査への適用
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Toshiki Watanabe, EVRC, Nagoya University.
Last modified: Wed Oct 16 16:29:03 JST 2024