清水 英彦((株)地球科学総合研究所)
学生生活を振り返って
当学部を卒業してからの社会人生活も4年目になり、改めて学生時代を振り返ると、特に学部4年生の研究室配属後の1年間の研究生活が特に懐かしい。1年間の在籍であったが、学生時代で最も充実した日々が送れたと確信しており、今でもいろいろなことが思い出される。ここに、学生時代のエピソードについて述べたい。
学科配属後から研究室配属前
学部2年生の地球惑星科学科への配属後から研究室配属までの2年間、20人弱の同期と共に過ごした。少数の学生で構成される学科であるため、講義・実習では教員の方々とは距離が近く感じられた。また、野外での地質巡検や観測実習も多く、現地に赴き見て触れて学習する体験はこの学科ならではの特徴であり、これらの経験から地球科学に対する知見をより深める事が出来たのではないかと考える。学業以外では、歓送迎会等のイベントで学年、研究室を超えた交流が持てた事は貴重なものであった。教員の方々また先輩方の研究またそれ以外の会話から得られた事は学生生活をより良いものに出来たと考える。
3年生の秋、地下構造探査による地下の可視化に興味を抱き、そして石油開発業界を知り、ご縁あって現在所属する会社に入社が叶った。この分野そして会社を知ることになったきっかけは、2・3回年生用の休憩室に何気無く置かれていたパンプレットであった。これは大学のOBかつ会社の先輩が置いて行ったものであった。就職活動も終わりいよいよ卒業研究が始まった。
研究室配属後から卒業
希望が叶って、地球惑星ダイナミクス講座、地下構造グループに籍を置く事ができた。本講座では毎週、教員また学生が従事する各々の研究を発表、ディスカッションするGJセミナーが設けられている。この機会に他の分野に関する知見を得られたことは非常に有益であった。また、本講座の研究の多くは解析だけでなくデータ観測も行われるため、何度か観測に同行する機会をいただき、実地で学べたことは良い経験になった。卒業研究では、指導教員である渡辺先生と相談の上、近地自然地震を用いた「自己相関関数による濃尾平野地震基盤構造のイメージング」というテーマとした。初めての事だけに分からない事、知らない事が多く、躓くことの連続であった。そんな時は、いつも担当教員、他の教員の方々また先輩の指導・助言があった。毎週行われた研究室メンバーで構成される地下構造セミナーでは、自身を含めた各メンバーの研究の進捗報告そしてディスカッションから、どのようにアプローチしていけば良いのか考えながら研究を進めることができた。このような研究室での生活を過ごしながら、お陰様で、無事に卒業研究を成し遂げることができた。あれほど直向きに何かに打ち込んだ事は学生生活の中で他にはなかった。そして成果が得られた時の嬉しさは今でも忘れない。
社会人生活
現在、地下構造の把握を目的とした物理探査手法の一つである、反射法地震探査のデータ取得・解析業務に従事している。地球科学の分野である事から学生時代の勉学・研究との関連が深く、仕事の理解に役に立つ事もあり、本講座で学べた事は今でも感謝している。
最後に
以上、私の学生生活を中心とした事を述べましたが、ひとつ学生の皆さんへお伝えしたい事があります。自分の興味が持つ事に対しては、大変なことでも一生懸命取り組むことによって大きな満足が得られると思います。本講座は自由闊達さとアットホームな雰囲気を持ちながらも研究に専念できる良い環境を持っていると思います。地球物理学に興味がある方は、是非この講座を一つの進路候補として勘案してみては如何でしょうか。色々な人の話の話を聞いて、そして自分のやりたい事をよく考えた上で、どのような道を進みたいのか決める事をお勧めします。
2011年度 名古屋大学 理学部 地球惑星科学科 地球惑星物理学講座卒業
指導教員 地球惑星ダイナミクス講座 渡辺俊樹助教授