小山 真央(応用地質株式会社・地震工学センター所属)
「なにごともあきらめずに前にすすむこと」
思い出すこと修士課程の入学試験、ダイナミクス講座を希望したのはいいが、入学試験では数学、物理に苦手意識があり物理、数学の試験は選択しなかった。その理由も親の都合で高校、大学とアメリカで過ごし、一般的に日本の理系の学生が受講している科目を受講していなかった(もちろんそれ以外の理由もある)。また、学部では地質学を専攻しており、地震学の知識もあまりない。地質学に関する専門用語は英語ではわかるが日本語ではわからない。こんな普通にはいない学生だった。
入学試験の口述試験の中、ある教員からこれから人一倍学ぶ必要があるが、その覚悟はあるかと質問された。私は諦めなければ決して不可能なことはないと信じ、その質問に強く答えたことを覚えている。アメリカで過ごした経験から、どんなことでも不可能なことはないと当時は思っていた。そして、名古屋大学を卒業した今その思いは一層強くなり、なにごとも諦めずに前にすすむことの重要さを日々実感している。
私のダイナミクス講座での学生生活はたいへんなものだった。やる気は人一倍あったが、やはり知識が不足しており授業などあまり理解できない毎日だった。他の学生に追いつこうと必死で、研究が進まない日が続いた。GJセミナーなどの発表の機会があると教員から厳しい言葉を浴び、何回もくやしい思いをした。ただ、前に進めば必ず実現できることを信じ、毎日あきらめずに研究に励んだ。その後、スタートラインは皆と比べてとても遠い位置にあったが、卒業する頃には人並みぐらいのことはできるようになった。修論発表の時ある教員から、心配していたが発表がとてもよかったとお褒めの言葉を頂き、充実感を感じこれまで積み上げてきたことは間違っていなかったと確信できた。
そして、現在応用地質株式会社で地震被害想定などに用いる地震動の計算を担当している。これまで地球環境系を専攻してきた私には格好の企業であり、英語を使う機会もたびたびある。入社してからは一から学ぶことばかりだったが、根気強く学ぶ姿勢を崩さなければ必ず達成できると確信があったため苦手なことも少しずつ挑戦し、自分ひとりでできることを増やしていった。 まだまだできないことはたくさんあるが、自分のペースを崩さずできることを増やし自分のため、会社のために努力していきたい。
あきらめさえしなければ、なにごとも実現できる。人によりもちろん個人差はある。自分はどんなに努力し続けても結果が出ないのに、ある人は簡単に結果を出してしまう。そのようなことを実感したことは誰でもあると思う。ただ、自分はそんなことできないとあきらめてしまったらそこで終わりだが、、前に進むことで必ず結果は見えてくる。学生、社会人になるにつれてさまざまな困難に遭遇することはあると思う。そこで思い出してほしいのは、ある困難を達成したときのうれしさと達成感である。この気持ちを忘れずに私自身、これから名古屋大学を卒業していく方々に日々挑戦し、前に進み続けてほしいと思う。
2012年度 名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻修士課程修了
指導教員 渡辺俊樹教授 山岡耕春教授