2014年に発生した御嶽山噴火においては、地元自治体と専門家との十分な連絡体制ができていませんでした。気象庁から発表される情報について、防災を担う地元が理解するための相談相手となる専門家もいませんでした。このようなことから、長野県や地元自治体が御嶽山地域における火山研究施設の必要性を強く希望していました。名古屋大学がそれを受ける形で、長野県・木曽町・王滝村の協力を得て御嶽山火山研究施設を開設し、2017年7月に木曽町三岳支所内で活動を開始しました。その後、2022年8月、オープンに合わせて御嶽山ビジターセンター(さとテラス三岳)に移動し、ビジターセンターの機能を活用した活動を行っています。
御嶽山火山研究施設は、名古屋大学が御嶽山の研究を行うためのかなめの施設であると同時に、名古屋大学が地元の火山防災力向上に貢献するための施設でもあります。研究施設の入居しているさとテラス三岳は、木曽町・王滝村の両町村だけでなく、御嶽山地域を訪れる登山客や観光客にとっても利便性の高い場所で、研究者と地元との顔の見える関係を構築する上でも好都合な場所となっています。また御嶽山の研究に訪れる研究者にとっても便利な場所であり、噴火時における観測調査基地としての役割も担うことのできる場所です。御嶽山火山研究施設では、最新の火山研究を通じて、またビジターセンターの特質を活かし、御嶽山火山活動の評価能力向上、地域の防災力向上、火山防災人材育成と知見の普及に貢献していきたいと考えています。
寺川 寿子 教授
(併任)2024.9-
金 幸隆 特任准教授
(専任)
竹脇 聡 研究協力員
(専任)【御嶽山火山マイスター】
山岡 耕春 教授
(併任)2017.6-2024.3
國友 孝洋 特任准教授
(専任)2017.6-2022.3
田ノ上 和志 研究協力員
(専任)2017.6-2021.3
御嶽山火山研究施設では、施設懇談会を年2回開催します。
地元(長野県、木曽町、王滝村)へ活動や研究の報告を行ってご理解を頂くと同時に、ご要望を伺い施設運営に生かします。
第1回施設懇談会は、2018年5月16日に木曽町文化交流センターで開催されました。御嶽山火山研究施設の2017年7月2日の開所からこれまでの活動が、國友特任准教授によって報告されました。また、名古屋大学の研究トピックスとして、御嶽地域でのGNSS観測による成果が、伊藤武男准教授によって紹介されました。長野県担当者からは、出前授業等、子供たちに御嶽山や火山の知識を伝える機会を増やしてほしいという要望を承りました。
名古屋大学御嶽山火山研究施設では、御嶽山周辺の観測点で得られたデータを大型ディスプレイでリアルタイムに表示することができます。
画面は、2018年11月23日に発生した焼岳の火山性地震とその周辺で発生した群発地震の波形です。
その他、震源分布、傾斜変動、GNSSによる地殻変動も表示しています。