「日和田富士(ひわだふじ)」です。
解説 御嶽山は、東側から見ると、王滝頂上(2936m)、剣ヶ峰(3067m)、アルマヤ天(2897m)、摩利支天(まりしてん)山(2959.5m)、継子(ままこ)岳(2859.1m)などの峰がほぼ南北に連なり、山頂域が拡がった姿が似ていることからアフリカ大陸の最高峰であるキリマンジャロ山(5895m)に例えられることがあります。御嶽山は、長い歴史の中で噴火口の移動を繰り返しており、成層火山がほぼ南北に幾重にも重なって形成されています。そのため、東あるいは西からは、広い山頂域をもつ山容に見えるのです。北麓(岐阜県高山市高根町日和田)からは、継子岳火山だけが見えて他が隠れるために富士山に近い円錐形に見え、「日和田富士」とも呼ばれています。
参考文献串田孫一ほか編(1998)日本の名山11 御嶽山 伯品社 252pp
国立天文台編(2009)理科年表 丸善株式会社
地理院地図 https://maps.gsi.go.jp/
小林武彦(2017)王滝村と周辺の地形・地質 村誌王瀧自然編 106pp
東側から見た御嶽山(2018年2月22日國友撮影)
剣ヶ峰の東北東およそ20㎞にある木曽福島スキー場から見た冬の御嶽山です。新期御嶽火山の複数の峰々が連なり、広い山頂域をもつ山容となっています。最高峰の剣ヶ峰(3067m)の背後あたりから噴気が昇っています。御嶽山の右側(北側)はなだらかに裾野を引いていますが、左側(南側)の裾野には三笠山(2256.3m)が出っ張っています。古期御嶽火山の一つで、およそ10万年前の新期御嶽火山の活動開始時にできたカルデラの外輪山の一部とみられています。
北麓から見た御嶽山ー日和田富士(2018年6月17日國友撮影)
北麓にあるチャオ御岳マウントリゾート(現在休業中)の駐車場から撮影した御嶽山です。北側からは成層火山である継子岳火山(2859m)の姿を見ることになります。
南麓から見た御嶽山(2018年5月27日國友撮影)
御嶽山南側、王滝村の伝上川下流から見た御嶽山です。この方向からは、奥の院火山(2940m)の姿を見ていることになります。左奥には地獄谷があり、2014年火口からの噴気が立ち昇っています。右側に見える崩落部は、1984年の長野県西部地震(M6.8)による山体崩壊の跡で、「御嶽くずれ」もしくは「伝上くずれ」と呼ばれています。
岐阜県土岐市から見た御嶽山(2019年11月29日國友撮影)
御嶽山の南南西66㎞にある土岐市の道の駅「どんぶり会館」から見た御嶽山です。崩落部や峰が多数あり複雑な形状をしていますが、大きく見ると円錐形状の成層火山の山容に見えます。中央に一ノ池火山があり、その右側のピークが剣ヶ峰です。真ん中の地獄谷には噴気が見えています。左側のピークは継母(ままはは)岳(2867m)で、新期御嶽火山の中では最も早く活動を開始した火山群です。