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太陽系の惑星は、内側から水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。このうち、木星から外側は、巨大ガス惑星、巨大氷惑星であり、惑星表面に火山地形は見られないため除外されます。
さて、火星のオリンポス山は標高21,229m、ハワイ諸島の火山に良く似た楯状火山(shield volcano)で、火星の最高点であると同時に、太陽系の惑星で最も高い山です。周囲の地形からの高さは25,000m以上です。ちなみに、惑星表面の平均高度を基準として、金星の最高点はマクスウェル山で 約11,000m、水星の最高点は4,480mです。それぞれの惑星の最低点との高さの差で比べても火星のオリンポス山を超えることはありません。
ところで、現在の火星には海がありませんから、地球のように平均海面からの高さ(海抜高度)で標高を定義することはできません。どこから測った高さなのでしょう。地球では、平均海面を海のない陸地にまで延長したと考える高さの基準面があり、ジオイド(geoid)と呼ばれています。少し難しい言葉を使うとジオイドは(平均海面に最も整合する)重力の等ポテンシャル面の一つで、その面に沿って移動すれば、例え面の形が凸凹していても位置エネルギーの変化がなく、楽に移動することができます(平均海面は海底地形や地下の密度つまり地下にある物体の重力の強弱の影響で意外に凸凹しています)。ジオイドの形は、地球をまわる人工衛星による観測などから求められています。地球のジオイドと同様にして火星をまわる探査機の観測から求められた、火星の高さの基準面はアレオイド(areoid)と呼ばれています。この基準面から測った火星の最高点がオリンポス山で高さ21,229m、最低点はヘラス隕石孔(Hellas Impact Crater)で深さ8,200mです。
さて、地球で最も標高が高い山はエベレスト(8,848m)ですが、火星のオリンポス山の半分以下の標高しかありません。なお、地球で一番低い場所(一番深い海)は、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵で水深10,920m±10mと求められています。周囲の地形との比較で、地球で一番高い山は、ハワイのマウナ・ケア山(標高4,205m、周囲の海底からの高さ10,203m)です。それでも火星のオリンポス山の半分以下ですね。なぜ火星のオリンポス山がこれほど高くなったのか(地球の火山が高くなれなかったのか)については、いずれ取り上げたいと思います。
NASAのホームページ(オリンポス山)
https://mars.nasa.gov/gallery/atlas/olympus-mons.html
https://geology.com/articles/highest-point-on-mars.shtml
国土地理院のホームページ(ジオイド)
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_geoid.html
NASAのホームぺージ(Venus-Magellan)
https://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/html/object_page/mgn_c260n033_2.html
NASAのホームページ(水星全休の立体モデル)
https://www.nasa.gov/feature/first-global-topographic-model-of-mercury
ナショナルジオグラフィックのホームページ(Mountains)
https://www.nationalgeographic.com/science/earth/surface-of-the-earth/mountains/
海上保安庁のホームぺージ(世界の一番深い海)
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/SODAN/faq/deepest_sea.html