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「気のいい火山弾」の主役である火山弾は、卵の両はじを、少し平たくのばしたような形で、ななめに二本の石の帯のようなものが、からだに巻いてありました。この石の帯は、火山弾がぐるぐる回りながら弾道を描いて飛んでいる時に、両端から延びた糸状の溶岩がベゴ石の体に巻き付いたものということが、作中に登場する学者のセリフから分かります。回転方向も分かるようです。「ベゴ」というのは、岩手の方言で牛を意味しています。周りにいた稜(かど)のある石たちが揶揄して付けた名前です。火山弾には、柔らかいうちに地面に落ちてつぶれ、牛の糞に似た形になった「牛糞状火山弾」というのがありますが、ベゴ石の形からすると、そこから来た名前ではないようです。黒い牛が寝そべっているのを遠くから見たら火山弾のように見えるかもしれませんね。絵本のベゴ石は、お地蔵さまの頭のような印象を受けます。物の価値は見る者によって変わる。いろいろ考えさせられる作品です。
宮沢賢治・著、田中清代・絵(2010)気のいい火山弾 ミキハウス
群馬大学インターネット火山博物館(火山の噴出物)
http://www.hayakawayukio.jp/museum/ejecta.html