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地球の磁場(地磁気)はこれまでに何度も逆転を繰り返してきましたが、「チバニアン」が名称の候補となっている地質時代(第四紀 中期更新世)は、最後(一番最近)に地磁気の逆転が起こった時期を始まりとしています。それ以降、現在まで、方位磁石のN極は北を指すようになりました。国際標準模式地として提案されている千葉県市原市の養老川沿いの露頭では、地磁気逆転期を挟んでその前後の地層を連続的に観察することができます。地磁気が逆転する前(方位磁石のN極が南を指す時代)に堆積した地層の中に、御嶽山からの火山灰層(白尾凝灰岩層)が挟まれています。その噴火年代は77.27±0.72万年前で、ジルコンという鉱物に含まれるウランとそれが壊変してできた鉛の量を精密に測って推定されました。この火山灰層から地磁気逆転までの年数を他の手法で推定し、中期更新世の始まりが約77万年前であることが分かったのです(ちなみに、中期更新世の終わりは12.6万年前です)。「チバニアン」が正式に認定される日が待ち遠しいですね。
国立極地研究所ホームページ
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150520.html
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20180705.html
Suganuma et al.(2015) Age of Matuyama–Brunhes boundary constrained by U-Pb zircon dating of a widespread tephra Geology, 43, pp. 491-494, 10.1130/G36625.1