火山超雑学クイズ
出題クイズ
- Q25
- 松尾芭蕉の「おくのほそ道」には、活火山がつくった地形の美しさを詠んだ俳句があります。「象潟(きさかた)や雨に西施(せいし)がねぶの花」と詠われた、象潟の風景(地形)をつくった活火山は?
出題者(國友孝洋)
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- A25
- 鳥海山(ちょうかいさん)です。
解説
鳥海山(標高2236m)は、秋田・山形県境に位置する活火山です。
紀元前466年に大規模な山体崩壊が発生しており、その際の岩屑なだれが秋田県象潟(きさかた)などで見られる流れ山群を形成しました。約2500年前の山体崩壊の発生年がこれほど正確に分かっているのは、岩屑なだれにより埋没した杉(神代杉)が多数出土しており、年輪年代学の手法で埋没年代が詳細に研究されたためです。象潟では、稲穂が実る9月には、黄金色の田園に松の緑に彩られた無数の流れ山が島のように点在する独特の風景を見ることができます。かつて、これらの流れ山群は潟湖(せきこ)に浮かぶ島々であり、象潟は松島と並び称される景勝地であったとされています。しかし、1804年に発生した「象潟地震(1804年マグニチュード7.0)」による隆起で陸化し、潟湖は消失してしまいました。芭蕉が象潟を訪れたのは1689年、象潟地震の100年以上前です。あいにくの雨だったようですが、芭蕉の目に象潟はどのように映ったのでしょうか。
「西施(せいし)」中国4大美人の一人と称される春秋時代の女性。
「ねぶの花」ネムノキ(合歓木)のこと。夕方になると一斉に葉が閉じる就眠運動をする。
参考文献
気象庁ホームページ(鳥海山)
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/sendai/209_Chokaisan/209_index.html
栗本ほか(2017)鳥海山の岩屑なだれにより埋没した樹木(埋もれ木)の研究, 秋田県立大学ウェブジャーナル A, vol. 4, 10-18.
日本地震学会広報誌ないふるNo.32「絵図から情報を汲む第5回象潟地震」
http://www.zisin.jp/publications/pdf/nf-vol32.pdf
蟹澤聰史(2019)「おくのほそ道」を科学するー芭蕉の足跡を辿る, 22世紀アート編集部, Kindle版.
名古屋から秋田の火山学会へ向かう機上から撮影した鳥海山の流れ山群(2018年9月25日國友撮影)。残念ながら象潟上空には雲がかかっていましたが、すぐ北の金浦(このうら)付近の流れ山群を撮影することができました。中に島がある矢印のように見えるのは竹嶋潟です。その矢印の先には、メガソーラー発電所が見えます。