火山超雑学クイズ

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出題クイズ

Q96
富山県の「西大森の大石」は土石流により運ばれてきたものです。土石流の原因となった火山現象は、西暦何年のどんな現象でしょうか?
出題者(國友孝洋)

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A96
1858(安政5)年の飛越地震による立山カルデラの山体崩壊(大鳶崩れ)です。

解説

 飛越地震による立山カルデラ(侵食カルデラ)内部の山体崩壊はQ38に登場しました。Q96は、その後の土石流で運ばれた大石(大転石)に関する問題です。

 安政5年2月26日(1858年4月9日)の未明、飛越地震(マグニチュード7.0~7.1:宇佐見, 1996)が発生し、立山カルデラの鳶山(とんびやま)で大規模な山体崩壊「大鳶崩れ」が起こりました。崩壊土砂量は、数億立法メートルと推定されており、有史以降では日本最大規模の山体崩壊です。

 この時の岩屑なだれは、常願寺川上流の真川、湯川をせき止め、雪解けが始まっていたこともあって、大きな湖水(せき止め湖)が形成されました。このせき止め湖は、余震と近隣で発生した誘発地震により、4月23日(旧暦3月10日)、6月7日(旧暦4月26日)の2度にわたって決壊し、流れ出した土砂が下流の平野部に大きな被害をもたらしました。

 西大森の大転石は、高さ7.2m、周囲約32.4mの巨石です。かつては、真川・湯川合流点にあり、1回目の洪水で横江地先まで転がり下り、さらに2回目の洪水で現在地まで移動したとみられています。その後、この石により流路が変わり、常願寺川下流右岸の洪水被害を少なくしたと言われており、村民は、護岸の神として祭るようになりました。常願寺川沿いには、このような大石(大転石)を各所で見ることができます。


参考文献

内閣府 防災情報のページ(災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成20年3月 1858 飛越地震)

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1858_hietsu_jishin/index.html

野崎保(2018)立山カルデラの地質学的形成史 自然災害科学 J. JSNDS 37-1 73-79

大坂剛(2018)立山カルデラ砂防工事史 自然災害科学 J. JSNDS 37-1 79-92

月刊グッドラックとやまホームページ

https://goodlucktoyama.com/article/scenery-of-toyama-article/201110-dai-tenseki

立山黒部ジオパークホームページ(西大森の大転石)

https://tatekuro.jp/enjoy/pointDetail.php?id=99