センター概要
主な設備
地震や火山を観測する
地震火山研究センターは、主に観測による手法を用いて地震や火山噴火の仕組みや予測に関する研究を行っています。そのため、地震計やGNSSを初めとした多種類の観測装置を所有しています。ここではその主なものを紹介します。
観測装置概要
さまざまな地震計
地震計には様々な種類があります。A-D:短周期地震計です。(Aは固有振動数2Hz、BとCは固有振動数1Hz、Dは旧型の地震計です)、E:広帯域地震計でゆっくりとした揺れまで計測ができます。
海底地殻変動計測装置
陸上のGPSと同様に、電波の通らない海底においても地殻変動を測定できたら巨大地震を発生させるプレート境界の動きが分かるかも知れません。そのために海底に装置を沈めて、船との距離を測って地殻変動を計測します。写真は海底に沈める計測装置(海底局)で、海面の船からの音波信号を受けると船に向けて音波信号を返す仕組みとなっています。
精密制御震源装置
ACROSS(アクロス)と呼ばれる震源装置です。GPSから得られる正確な時刻に同期して正弦波の震動を発生させ、地下に放射します。その信号を離れた地震計で捉えることで地下の構造の時間的な変化を捉えます。火山などでマグマの移動が起きたり、地下の流体の分布に変化があった場合には震動の伝わり方が変化することが期待できます。写真は最新型のアクロス震源装置で、愛知県豊橋市にある三河観測所に設置されています。
個々の観測装置
GNSS(GPS)観測装置
写真はGPSのアンテナです。三角点などの固定された目印のある場所にアンテナを三脚でたててGPS衛星からの電波を受信します。繰り返し測定することで、その場所の移動をmmオーダーの精度で測ることが可能です。
重力計
地震火山研究センターには自動測定記録機能を有したデジタル・携帯相対重力計が3台あります。そのうち2台はSCINTREX社製のCG-3(写真左)、残り1台は最新型のCG-5(写真右)です。相対重力測定では,ある地点,あるいはある時刻での重力値を基準として,そこからの重力変化を測定します。絶対重力測定のように重力の絶対値を測定する必要はないため,測定の大幅な簡素化が可能です。研究に使うのはもちろんのこと、学生実験でも相対重力計を用いて、学生が観測を自ら行い、その観測データを用いて地下構造の推定を行うなど実践的な教育を通して重力について学びます。
データ転送装置
様々な場所で計測されたデータは、リアルタイムで名古屋大学に伝送されます。写真の左からUPS(無停電電源)、直流安定化電源、データロガー(データ転送装置)、モデムです。データはIP化されて送られます。計測は正確な時刻にしたがって行う必要があり、最近はGPSの電波を時計として用います。
短周期地震計
短周期地震計の設置風景です。臨時観測のために固有周期2Hzの地震計を設置しているところです。震動は上下・東西・南北と3成分のゆれをはかる必要があるため原則3台の地震計を設置します。写真はそのうち2台目を設置しているところです。地震計の出力はデータロガーにつなぎ、デジタルにしてデータを記録します。
広帯域地震計
30Hz程度の短周期の揺れから周期100秒程度の長周期の揺れまでを同じ感度で計測することのできる地震計です。地震の規模が巨大になればなるほど長周期の揺れのエネルギーが大きくなります。巨大地震のしくみを解明するためには、このような広帯域地震計による計測が必要なのです。
衛星テレメータ装置
地震計などの信号データは、通常は電話回線に載せて名古屋大学にまで送ります。しかし火山など電話回線が使えない場所では、通信衛星を利用してデータを送ります。写真は衛星にデータを送るためのアンテナで、2014年の御嶽山の噴火直後に北川山麓に取り付けたものです。