九蔵峠

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九蔵峠-御嶽山の眺望とおよそ2億年前の層状チャート

 九蔵峠は、国道361号線沿い開田高原にある、御嶽山の全体像がみえるビュースポットの一つです。王滝頂上、剣ヶ峰、摩利支天山、継子岳などの代表的な峰が一望できるほか、溶岩流や火山灰などの火山噴出物がつくった雄大なスロープは見応えがあります。信州のサンセットポイント百選にも選ばれており、御嶽山に沈む夕日を見るために訪れる方も多いそうです。

 御嶽山の景観を堪能した後は、反対側の崖もご覧ください。御嶽山の土台となっている中生代ジュラ紀付加体の褶曲したチャート層(層状チャート)を観察することができます。チャートは、シリカ(SiO2)を主成分とする固い岩石で、シリカの殻をもつ放散虫という海のプランクトンが主な材料となっています。木曽町~王滝村のチャートには、三畳紀からジュラ紀の放散虫の化石が含まれています。およそ2億年前には深海底だった地層が、プレートに乗って移動し、海溝で沈み込む際に付加して大陸の一部(後の日本列島)となり、標高1000m以上にまで隆起した土地に我々は住んでいます。御嶽山は、そんな悠久の歴史を経た大地を土台として、約80万年前頃から火山として産声を上げたわけですね。(國友孝洋)

※(参考)
竹内誠ほか(1998)木曽福島地域の地質.地域地質研 究報告 ( 5 万分の 1 地質図幅),地質調査所,94p
首藤・大塚(2004)美濃帯東部に分布するジュラ紀新世-白亜紀古世付加体 : 味噌川コンプレックスにおける放散虫化石年代と覆瓦構造, 地質学雑誌,110, 2,67-84.

九蔵峠からの御嶽山の眺望

 2018年12月10日撮影の御嶽山です。少し冠雪しています。九蔵峠から眺める御嶽山は、とても雄大で大きく見えます。御嶽山を東北東側から見ていることになります。代表的なピークである王滝頂上(2936m)・剣ヶ峰(3067m)・摩利支天山(2960m)・継子岳(2859m)のほか、アルマヤ天(2897m)や三ノ池溶岩流地形などを確認することができます。

冬支度を始めた御嶽山

 九蔵峠からは裾野を含めて東北東側からの御嶽山の全容を見ることができます。写真は、うっすらと雪化粧をした御嶽山です。左側のスロープの途中にある高まりは三笠山(2256m)です。手前の谷は西野川で、家の建つ平らな河岸段丘のすぐ背後に迫るなだらかな高まりは、御嶽山の火山噴出物がつくった地形です。

層状チャート

 御嶽山と反対側にある崖では、褶曲したジュラ紀付加体の層状チャートを見ることができます。車道を挟みますので、観察の際には車に気を付けてください。