岐阜県下呂市小坂町のがんだて公園では、御嶽山の安山岩質の溶岩流の断面を見ることができます。新期御嶽火山のうち草木谷火山の溶岩流とみられています。柱状節理の発達が見事です。長野県木曽地域で安山岩溶岩といえば板状節理という印象がありました。地質図の説明によると「巌立」は1枚の溶岩流とのことですが、柱状節理は、崖の上部は細く、下部は太く割れています。一連の溶岩流ではあるものの、二層が時間差で流れて来て、上下で溶岩の性質が異なっていたのでしょうか。それとも、上面(空気)と下面(礫層)とで接する物が違うので冷え方が異なるために割れ方に違いが出たのでしょうか。境界部がかなり明瞭なので、後者では、説明が難しい気がします。いろいろ考えているとすぐに時間が経ってしまいますね。なお、この溶岩が流れたのは約5万4千年前。溶岩中で見つかった炭化した樹幹を炭素14の時計で測定して分かりました。(國友孝洋)
※(参考)
山田直利・小林武彦(1988) 御獄山地域の地質. 地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅), 地質調査所,136p.
坂本亨・中村俊夫(1992)タンデトロンによる第四紀後期火山噴出物測年の現状, 名古屋大学加速器質量分析計業績報告書, 4, 127-134.
がんだて公園の溶岩露頭
がんだて公園に行くと、駐車場から岐阜県指定天然記念物の絶壁「巌立」を見ることができます。御嶽山から約15kmの距離を流れてきた溶岩流の断面です。公園内のがんだて茶屋では「あまごの天ぷら」がお薦めです。
安山岩溶岩の柱状節理
「巌立」は、下の方にだけ柱状節理が発達しているように見えますが、よく見ると上部は、非常に細い柱状節理が発達していることが分かります。上下で、なぜこんな違いが出来たのでしょうか。
溶岩の下の礫層
「巌立」の溶岩流の下は礫層です。溶岩流は、岐阜県に広く分布する濃飛流紋岩の谷の中を流れてきたと考えられますが、谷の底には、こうした礫層が堆積していたのですね。