田の原

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田の原-御嶽崩れ(長野県西部地震による山体崩壊跡)

 田の原駐車場は、王滝口登山道の入り口です。登山シーズンは、舗装された道路を車で行くことができますが、冬季にはスキー場のゲレンデとなるため、道路は閉鎖されます。冬季でも、スキー場のゴンドラに乗って頂上駅まで行き初心者コースを進めば、田の原駐車場からの冬の御嶽山の景観を近くで楽しむことができます。

 田の原駐車場から是非ともご覧頂きたいのは、「御嶽崩れ」です。御嶽崩れは、長野県西部地震(1984年9月14日、マグニチュード6.8)の強い揺れにより御嶽山で発生した山体崩壊です。火山体は、噴火による噴出物が急斜面に積み重なっただけの不安定な構造をしています。そのため噴火や強い地震などの刺激で崩れやすい宿命をもっています。御嶽崩れによって発生した岩屑なだれ(岩なだれ)は、土石流となって伝上川・濁川をかけ下りました。その時に、王滝川がせき止められてできた湖が「自然湖」です。御嶽崩れをはじめとして複数個所で発生した崩壊によって、全部で29名の方が犠牲となりました。御嶽崩れで崩壊した岩屑の総量は3400万m3と推定されており、国内では戦後最大規模と言われています。名古屋ドーム20杯分の雄大な崩壊跡は、自然災害の大きさ怖さをひしひしと我々に訴えかけてきます。(國友孝洋)

※(参考)
長岡正利(1987)1984年御嶽くずれの地形特性と発生条件, 地形, 8, 2, 95-112.
小林武彦(2017)王滝村と周辺の地形・地質.村誌王瀧村自然編.王滝村, 106p.

御嶽崩れ上部

 田の原駐車場(王滝村)から撮影した御嶽崩れです。山体崩壊跡が大きく口を開けています。東京スカイツリーを横にするとすっぽりと入る大きさです。右上に二筋白く立ち昇っているのは地獄谷にある2014年火口からの噴気です。

御嶽崩れ上部

 田の原駐車場から望遠で撮影した御嶽崩れの上部の様子です。火山体の内部を見ることができます。溶岩や火山噴出物が複雑に積み重なっていることが分かります。

下から見た御嶽崩れ上部

 田の原駐車場から源頭部に近づいて撮影した御嶽崩れ上部の様子です(立ち入るには森林管理署の許可が必要です)。右上の赤く見えるキザギザの歯のような地層は千本松テフラ層で、その下部の千本松軽石層がすべり面となって崩壊したと考えられています。現在は、軽石層は見えにくくなっています。下の白い部分は、継母岳の溶岩層です。